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2025.10.21
【講話】外部環境が原因で努力できない人をゼロに
10月17日金曜日、桜丘中学校はNPO法人「結び手」より、福岡洸太郎さんと本校の卒業生でもある川津勇さんをお招きし、お話をしていただきました。
2021年に設立された「結び手」は、インド国内7地域で10団体以上と共に活動する日本初のNPO法人(インド法人名:Musubi-Te Foundation)であり、基礎教育の普及活動・女性の自立支援活動や災害支援を実施しています。代表理事である福岡さんは、学生時代の生い立ちから「結び手」を設立するに至った経緯を丁寧に話してくださいました。
高い自殺率が問題になっていた若者に対する日本の教育現場を変えるために文部科学省に入りたいと考えるようになった福岡さんは猛勉強の末、東京大学に入学。しかし入学後、周囲からその目標を繰り返し否定されたことに耐えられず、夢を諦めてしまいます。大学を卒業し、バックパッカーとして世界を巡る旅に出た福岡さんは、道中のグアテマラで出会った少女の発言に大きな影響を受けました。「将来は医者になりたい、日本に行きたいけれど、この村に生まれたから無理なの」。貧困や差別の中で生まれた人たちに、せめて努力ができる機会を提供しなければいけない--その考えに至った福岡さんは帰国後、世界最大の人材会社Adeccoでの経験を経て、2021年には「外部環境が原因で努力できない人をゼロにする」というミッションのもとNPO法人結び手を設立しました。
福岡さんの口から語られたのは、実際に目で見て体験したインドの現状。未発達な教育現場、行政の汚職、性別やカーストによる差別など…先進国に住む我々からすれば衝撃的な現実でした。「文明が始まってから数千年も経つのにずっと人類が放置してきた課題を、この世代で終わらせなければいけない。」そう話す福岡さんの言葉は熱を帯びていました。
講話が終わると、生徒から「僕たちにできることってありますか。」という質問が飛び出しました。今日のような経験を通して、遠い国で起きていることも自分事としてとらえることができる感性を醸成してほしいと思います。

(文責:ワドー)