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2023.01.11

音楽科

『全日本学生音楽コンクール(毎コン)入賞者演奏会』と『弁論大会』

1月7日(土)名古屋・電気文化会館コンサートホールにて『全日本学生音楽コンクール入賞者演奏会』が開催されました。名古屋本選で第3位に入賞した3年生:長浜 優さん(声楽)が、音楽科同級生の小野杏奈さん(ピアノ伴奏)と共に素晴らしい演奏を披露してくれました。努力の成果が実り、結果も伴い、堂々とした大変立派な演奏でした。音楽大学への進学が決まっている2人の今後の成長が大変楽しみです。
桜丘中学校3年生:石黒奏海さん(ヴァイオリン)も3年連続で入賞者演奏会に出演。今後の将来が益々楽しみです。
上記で紹介致しました音楽科3年生の長浜 優さんは昨年、『多様性あふれる時代に』と題して校内弁論大会に出場しました。多くを悩みつつ、自分と向き合い、伝えたい思いを語ってくれました。ここにご紹介させていただきます。(文責: 野畑さおり)
『多様性あふれる時代に』 3年: 長浜 優
 突然ですが、皆さんは『ダイバーシティ』という言葉をご存知でしょうか。『ダイバーシティ』は、日本語で多様性と訳され、組織やグループなどで男女、国籍、年齢など関係なく、多様な人材を登用し、意見を取り入れたり、それぞれの持つ違った能力や価値観を活かすことで、組織を活性化することを意味するそうです。
 他にも、人種、民族、障害の有無、宗教、学歴、コミュニケーションの取り方、受けてきた教育、言語、嗜好など、違いがあるのが当たり前で、むしろ違いがあった方がいいという考え方のことも言います。
 私は以前から、『こうあるべきだ』『こうでなくてはいけない』という昔ながらの思想に疑問を感じ、それに縛られて生きるのが正しいとは思えませんでした。もちろん、集団で生きていく上で、一定の決まりごとやルールは必要だと分かってはいます。ただ、その当時、それを決めた時点ではベストなルールであっても、時代の変化やそれに伴う人間の思考の移り変わりによって、改善や見直しが必要になってくるものではないでしょうか。
 そう言った観点で見ると、我が桜丘高校はとても進んでいる学校だと思います。例えば前回の生徒総会で、ジェンダー問題について触れ、選挙の男女枠撤廃を検討したり、女子生徒のズボン制服の着用を認めるなど、多様性を受け入れようとする姿勢は、とても先進的だと感じています。そのお陰で私も、入学してから1年半ほどは好きではないスカートで過ごしていましたが、今ではズボン制服で違和感なく学校生活が送れるようになりました。ただ、母からは未だに快く思われていません。母の価値観では、『女子はスカートを履くのが当たり前』なので、仕方のないことかもしれません。でも、今は令和の時代。校則で決められた選択肢の1つであるズボンを履いていても、私はおかしいとも恥ずかしいとも思いません。
 こうした多様性を取り入れていく背景には、日本の人口減少問題が深く関わっています。
特に、少子高齢化により労働人口が激減していることが深刻な問題とされおり、その影響で女性の社会進出や、そこでの活躍が求められるようになっているのです。冒頭に述べた『ダイバーシティ』がそこに繋がります。それでも労働力が不足しているため、外国人労働者は必然的に増えていくのです。現に、農業や建設業、国家資格である看護士にも、外国人が採用されています。今後、より多くの外国籍の方々が増え、将来は私たちもそうした価値観や文化が異なる人々と共生していく必要があるでしょう。
 社会が目まぐるしく、短期的に変化している現代。表現方法やコミュニケーションの取り方も多様になってきています。学校の授業がオンラインで行われたり、SNSなどで、世界中の人々と簡単に繋がることが出来るとは、私たちの親の世代は想像できたでしょうか。逆に、スマートフォンや携帯が無かった時代の生活を、私たちは想像できるでしょうか。
 いつの時代でも、古きは廃れ、新しきものが生み出され、進化していきます。しかし、温故知新という言葉があるように、古いものが悪で、不要ということはありません。古くても現代に残り続け、今も尚、色あせることなく人々の心を魅了し続けるものがあります。私たち音楽科が学んでいるクラシック音楽は正にその代表例と言えるでしょう。皆さんも1度は名を耳にしたことがあると思われるバッハやベートヴェン、モーツァルトは、今から250年~300年ほど前に活躍した音楽家ですが、その名や功績は廃れることなく、今でも世界中で広く知られています。彼らが活躍した頃の日本は、江戸時代で鎖国の真っ最中。それにも関わらず、遠い異国の古い音楽が未だに残り続けているのは、すごいとしか言い様がありません。
 私は、音楽科で声楽を専攻しています。主にイタリア語の曲を歌っているのですが、これがまた難しいのです。楽譜に記された音符と記号から、作曲者の意図を汲み取り、言語の壁を越えて、『今は悲しんでいるのかな』『今は幸せなのか』などと、聴き手に伝わるよう、表現をしなければなりません。そのため、1曲歌いあげるのに、歌詞の意味を調べたり、楽曲分析などをする事により、物事を大変深く考えるようになりました。自分自身のことを分かってもらえるように表現することも、これと同じぐらい難しいことだと思っています。自己肯定感が低く、周りに迷惑をかけたらどうしよう、自分なんて・・・と思ってしまい、自分のことや本当の気持ちを伝えることが出来ずに生きてきました。今でも苦手ことには変わりありませんが、高校に入学し、音楽を学んでいく中で、自分と向き合うことを覚え、自分らしく在りたい、無理に自分を押し殺す必要はないのだと気付くことが出来ました。それから、人との向き合い方も少しずつですが、改善されつつあると感じています。私は、この桜丘高校で学ぶことが出来、とても良かったです。
 私は18歳になり、法律上は成人をしました。これから社会に出て、多様な価値観を持つ人たちと生活していくことになります。その中で自分を見失わず、自分らしく生きていくためには古きを歴史から学び、新しきを吸収し、成長することが必要だと思います。それによって自分の意志を持ち、様々な問題と向き合い解決する力を身につけることこそが、これからの多様性あふれる時代を生き抜く術ではないでしょうか。
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