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2022.04.07

お知らせ

2022年度 入学式

入学式 校長式辞
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。ようこそ桜丘へ。この日を楽しみにしていました。真新しい桜丘ブルーのブレザーが青空にも負けない清々しさでこの体育館にさわやかな風をそよがせてくれています。今日から3年間、桜丘生としての誇りを持って、大切に着用してください。
さて、これが何だかわかりますか?チョークです。誰もが一度は黒板に文字や絵を描いたことがあるのではないでしょうか。特に小学生の頃は、チョークって憧れですよね。放課になると先生の目を盗んで友達といたずら書きをしたものです。私自身、忘れられないチョークの想い出があります。もう40年以上前の話になりますが、小学校高学年の2年間、担任をしてくださった山本善次先生が、私は大好きでした。見た目はお蕎麦屋さんの店先にありそうなタヌキの置物のような感じ、声が大きくて、とにかく面白くて暖かくて、でもきちんと厳しくて、子供ながらに尊敬していました。さらに、先生の授業は本当に楽しくて、クラスのみんな、身を乗り出して聞いたものです。今でも目に焼き付いている先生の姿があります。米粒くらいに小さくなったチョークを、捨てることなく、黒板になすりつけるようにして文字を下記、最後の最後まで使い切るのです。一回や二回ではありません。すべてのチョークを使い切っていました。やがて、そのたびにみんなで拍手をするようになりました。
 ここ数年で、ICT教育が進み、チョークの需要も減りつつある中、国内シェア50%を誇るチョークの生産会社があります。神奈川県川崎市にある「日本理化学工業」という会社です。数年前、「日本で一番大切にしたい会社」に選ばれ、メディアで紹介されました。この会社には少し特徴があります。従業員の70%に当たる人たちが何らかの障害を持っているということです。決して障害のある方を雇用するための会社ではありませんでした。きっかけは60年前、近隣の支援学校から卒業生2名の就職依頼があったからです。当時の大山社長は、快く採用したのはいけど、デリケートなチョークの生産サインで、どのようなⓈ稼業をしてもらえばいいのか戸惑ったそうです。しかし、そんな戸惑いは束の間で、彼らは驚くほどの潜在能力を発揮したのです。
 チョークの生産ラインでは、炭酸カルシウムを練り状にしたものを型に押し出していきます。数秒に一回、数十本を押し出す工程が絶え間なく続きます。その中から瞬時にキズが付いたもの、気泡が入ったものなどを除けていきます。彼らの潜在能力とは、その作業を何時間でも集中して取り組めることです。しかも正確で丁寧、決して手を抜かない仕事ぶりです。健常者が同じ作業をしたら、30分しか持たないそうです。彼らと出会ったことがきっかけとなり、社長は考え方が変わったといいます。それまでは「共生社会」、つまり、障害のある方を支える社会という観念から、「皆働社会」、障害があるないにかかわらず、皆、働ける社会。その実現こそが日本社会の宝になる。そして社長はこう続けます。「仏教を導く導師が言われた言葉です。人間の究極の幸せとは、「人に愛されること」「人にほめられること」「人の役に立つこと」「人から必要とされること」の4つである。この教えを知り、私は愛以外の3つの幸せは仕事から得られるのだと思いました。今はその愛までも得られると確信しています。」と。
 学校も同じだと思います。縁があって同じ学年、同じクラスになった仲間と今、こうして一堂に会しています。でも変える家はみんなそれぞれです。兄弟の多い子、一人っ子の子、大家族の子、お母さん、あるいはお父さんと2人で暮らしている子、おじいちゃん、おばあちゃんと暮らしている子、親元を離れて寮生活が始まる子など、家庭環境は様々です。さらに、みんなひとりひとり個性や考えが違います。人を笑わせていつも明るい子、多人数が苦手な子、人と話すと緊張してしまう子、部活で全国を目指したい子、勉強をがん亜b利泰子、友達をたくさん作りたい子、何を頑張ればいいのか、まだわからない子・・・。いろんな子がいることが当たり前です。ただ、みんなに共通することが一つだけあります。それは、この桜丘高校に所属しているということです。ここがこれからの居場所になるということです。様々な個性が時にぶつかり合うこともあると思いますが、そんな時こそ、お互いを仲間として「愛する」ことで受け入れ、クラスで素晴らしい子がいたら「褒め合い」、先生や仲間の「役に立てたら」自分の自信にし、そして桜丘に入学した以上、「必要のない生徒はいない」という先生方の愛を安心して受け止めてほしい。先ほどの4つの幸せを常に感じられる学校生活を、みんなで作り上げていきませんか。私からのお願いです。
 父母の皆様、本日はおめでとうございます。親の愛に勝る愛はないと思います。「友達できるかな」「友達とうまくやれるかな」「お弁当一緒に食べる子いるかな」「勉強ついていけるかな」「部活動頑張れるかな」「毎日学校に行ってくれるかな」「担任の先生はうちの子のことを理解してくれるかな」など、些細な悩みや心配事は尽きませんね。でも、他人からしたら些細なことでも、親にとっては大きなこと。子供が元気なら親も元気、子供が悩んで苦しそうなら、親も苦しくなる。時に子供と自分の2人分の人生を生きているような、そんな辛い時期もあるかと思います。全ては親だからこその責任や愛情なのだと思います。でも、思い出してください。わが子がこの世に産まれてきてくれた瞬間を、そしてこれまでたくさんの幸せや感動をもらったことを。
 高校時代は、思春期を終え、大人になっていく、人生の中でも大事な時期です。急に大人びて今までと様子が違ったり、親と意見が合わなかったり、何を考えているのかわからなくなることもあると思います。それは、子供たちが成長している証です。学校の役割は、そんな多感な時期の生徒たちひとりひとりとしっかり向き合って、3年間という時間の中で日常を共にし、成長へと導きます。時に学校の方針と親の想いが食い違うこともあるかと思います。ですが、相互理解できるまで、相談や要望にはとことん向き合いますので、遠慮なく申し出てください。教師も親も先に生まれたひとりの責任ある「大人」として、一緒に子供たちを育てていきませんか。3年間、どうぞよろしくお願いします。
 最後に、桜丘の先生方が使っているこのチョーク、もちろん、日本理化学工業のチョークです。皆さんが教室で使うことがあったら、最後まで大切に使ってください。以上を持ちまして、式辞といたします。
入学式 生徒会長歓迎の言葉
皆さんこんにちは、生徒会会長の鈴木漣斗です
 ようこそ桜丘高校へ。私が入学した時、「楽しくなければ学校じゃない」という言葉で歓迎してもらいました。2年間を過ごし、今度は、そんな私が体験し、学んできた「楽しくなければ学校じゃない」を大好きな桜丘へ入学してくれた皆さんに歓迎の言葉として、送りたいと思います。
 一つ目。桜丘は、「過去に心を寄せ、時間を超えて人の痛みに寄り添える学校です」。
皆さんが正門を入って、目の前に飛び込んでくる塔があります。あれは、教育機関で唯一、ヒロシマ原爆の残り火を灯している「平和の塔」です。沖縄修学旅行や、この塔を通して、その当時の人がどう懸命に生きたのかを学び、私たちがどう平和を繋いでいくのかをみんなで考えます。ウクライナ侵攻に対する平和宣言文も全校のみんなで学び、作りあげ、発信しました。「#これ以上 人が傷つくのを見たくない」はそんな学校だから純粋に発信できる平和を願うメッセージです。
 二つ目。桜丘は、「共に未来を切り開く仲間がいる学校です。」
同級生や先輩たちだけではありません。先生方も仲間です。私たちが悩んだ時には時間を惜しまず相談に乗ってくれる先生、同じ目線にたち、一緒に楽しんでくれる先生、自分のこと以上に私たちの将来を考えてくれる先生。色んな先生がいますが、みんな味方です。そんな仲間と切り開く未来の象徴として、桜丘の学園祭である「櫻輝祭」があります。生徒も、先生も、父母の皆さんもみんなで、「コロナ禍だからしょうがない」ではなく、「コロナ禍でしかできない特別を」と想像もしていない未来が切り開けます。
 最後に三つ目。桜丘は、「時間を忘れ、今を精一杯生きる大切さを教えてくれる学校です。」
日常生活の友達との時間、学習に励む日常の勉強、仲間とともに夢を追う部活動、孤独な戦いにしない受験勉強、世界を見る視点がどんどん広がる総合学習、そして学校全体で未来を切り開く自主活動。その1日1日が楽しすぎる日々です!
「過去、現在、未来」と大切なものを学べるこの学校が大好きです。きっと、みんなも3年後には、桜丘が大好きになっていると思います!
今日から一緒に桜丘を作っていきましょう!以上です。ありがとうございました。
新入生誓いの言葉
春の息吹が感じられる今日、私たち640名は桜丘高校に入学いたします。
本日は私たちのためにこのような式を開いて頂き、誠にありがとうございます。新入生を代表してお礼申し上げます。
「高校生活」という新しい門の前に立ち、今、その扉を開けようとしている私たち。少しの不安と大きな希望を胸に、未来へ向かって歩みだす喜びに満ち溢れています。
今日から私たちは、桜丘高校の生徒として、共に学び支え合いながらかけがえのない3年間を過ごすのです。
私は韓国人の父と日本人の母を持つダブルとして生まれ、2つの国籍を持ちながら15年間生きてきました。その中でずっと考えてきたことは、「違いという言葉の意味」。国の違い、人種の違い、考えの違い...。そこから起こる争いは、戦争という形で、今も多くの犠牲を生んでいます。
「違うということ」をどう捉えていくべきなのでしょうか。
「桜丘高校」という同じ場所で共に過ごす私たちもまた、一人ひとり考え方、価値観も違うのです。違いを認め合い、お互いを尊重し合う、その先に平和な世界があるはずです。未来を作っていくのは私たち一人ひとりだと言うことを忘れず、より多くのことにチャレンジし、経験を重ね高校生活を充実したものにしていきます。
これから先、様々な困難にぶつかることもあるでしょう。しかし、どんな時も問題から目を背けず、溢れる情報に振り回されることなく、自分の中で咀嚼し、考える力を身につけ、仲間と共に一歩一歩成長していきます。
校長先生を始め、先生方、先輩方、保護者の皆様、未熟な私たちをどうか暖かく見守り、ご指導いただきますようよろしくお願いいたします。
2022年4月6日   新入生代表 都梨晏
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